研究所概要

赤い実がなる植物

佼成カウンセリング研究所は、仏教精神を基盤とした佼成カウンセラーの養成を主な目的として昭和47年10月、在家教団である立正佼成会の旧布教本部教育課内に発足されました。同年11月、一般社団法人全日本カウンセリング協議会に加盟し、カウンセラー養成機関として社会的に認知される研究所となりました。
48年8月、第1期カウンセラー養成講座を開講。以来、社会の諸課題に対応し、草の根レベルの奉仕活動ができるカウンセラー養成にあたっています。
また、広く社会に奉仕できるよう50年1月、一般社団法人全日本カウンセリング協議会認定の資格を得たカウンセラーの誕生に伴い、研究所内にカウンセリング相談室を開設。一人でも多くの人に自分らしい生き方を見つけてもらいたいと、立正佼成会会員のみならず市民にも窓口を開き、相談に応じています。


佼成カウンセリングのめざすもの

カウンセリングは、身の上相談や人生相談などとちがい、対応策や解決策をアドバイスするものではありません。悩みを解決するのは、あくまでも相談者自身です。
人は本来、みずからの問題についてはみずから解決するという力を備えているといわれます。その自助努力を相談者がみずからの意志によって引きだせるようお手伝いするのがカウンセリングです。仮に相談者の悩みが大きく、いまはみずからの力だけで立ち上がるのが難しいとしても、その力を信じる姿勢に変わりありません。
カウンセラーは、相談者が心に溜め込んだ悩みや不安、苦しい思いを十分に表現できるよう話にじっと耳を傾け、いっしょに感情や心の整理をすることを援助していきます。そして、相談者の”いのち”が順調にはたらくように、自分らしく生きていけるように、歩みを合わせて側面から少しだけお手伝いさせていただきます。

いま、社会は混迷を極めています。企業においては不況の長期化によりリストラや人員削減が敢行され、地域や家庭において人間関係が希薄になっています。また、価値観の多様化により人びとは心の依りどころを求めています。ストレスやプレッシャーは増すばかり。人と人とが心を許せる関係を築くのは、とても難しくなっています。
そうした社会背景や人びとのカウンセリングへの認識が高まったことも大きく起因しているからでしょうか、カウンセリング相談室の利用者や電話相談は年々増えています。

佼成カウンセリング研究所は、設立以来、「仏教=佼成カウンセリング」の理念に基づき研究開発を行っています。とりわけ、法華七喩という法華経に説かれている7つのたとえ話は、カウンセリングの援助のあり方と相通じています。それらのたとえ話はみな、お釈迦さまが迷える衆生をさまざまな方便を用いて真理に導いた話ですが、なによりも重要な点は、衆生自身の力で真理に至らしめたことです。佼成カウンセラーは、つねにそのお釈迦さまの慈悲の心に倣い、であいを大事にするよう努めています。

現在、佼成カウンセラー養成講座を卒業した有資格者は、全国で1800人を超えます。東京・千葉・埼玉・神奈川・大阪の「佼成心の電話相談室」や地域の相談室でカウンセラーとして活躍しています。相談室のみならず、地域社会や日常生活のなかでの人とのふれあいにおいて、カウンセリングの学びを生かしている人が大勢います。
こうした社会に対する貢献をさらに推し進められるよう、研究所では、有資格者の活動支援として地域の有資格者をさらに地域につなげ、情報提供や研鑽の場を設け、それぞれの知識の習得や資質向上に力を注いでいます。
また、「佼成カウンセラー有資格者全国大会」やよりよい人間関係づくりのための体験学習として「カウンセリング・ワークショップ」を実施しています。地域の要請に応じ、個別にワークショップを開催するなどの取り組みも進めています。今後も、「心の伴走者」として、多くの方々の求めに応えられる佼成カウンセリング研究所であり続けたいと願っています。